本の記録・感想
絲山秋子『ニート』読了。 小説家になった「私」が、昔つき合っていた「キミ」のブログを見て、「キミ」が相変わらずニートであって非常に困窮していることを知る。 「私」もニートだったけれど、「物書きになりたいという夢だけで、世間にずいぶん許しても…
最近、シェアハウスに興味があって、検索して物件を見たりしている。東京でも3万円台で住めるものから、カフェみたいな共用スペースのあるソーシャルアパートメントまで色々ある。自分がシェアハウスで暮らせるかなと想像してみると、ちょっと楽しそうでちょ…
私はどちらかというと悲観的な人間だ。ただ、割りと単純な性格なので日々のちょっとした幸せを感じて、将来の不安をまぎらわして生きている。楽観的とか悲観的な性格というのは、やはり生来のものなのだろうか。若くてエネルギーに満ちていても悲観的な人は…
自分ではどうしようもないことがある。どんなに思ってももはや叶わない。もう努力とかそういうのでなく、誰かに振り向いて欲しいのにそれは無理なのだとわかってしまったりとか。挫折とまでいかなくても、これまでとは違う新たな道へ一歩踏み出さないといけ…
小学生の頃の親友は、自然と人が集まってくる不思議な魅力のある子だった。彼女が何故私と仲良くなったのかはわからない。友人でありながら、私は彼女に憧れのようなものを抱いていた。私は不器用で人を寄せ付けないようなところがあって、柔らかく人を包み…
ときどき、人混みの中でひどく孤独を感じていたたまれずにひとしきり部屋に籠ることがある。そういう時は自分とかけ離れた世界に飛び込みたくなって集中的に読書をする。二転三転する物語ではなくて、静物画のような物語を欲しているのだ。宮下奈都『羊と鋼…
どんな職業でもそうだと思うが、30年以上も続けていれば一家言あるわけで、村上春樹さんも割りと赤裸々に小説家という仕事について語っている。村上春樹『職業としての小説家』 ≪内容≫ 小説家は寛容な人種なのか 小説家になった頃 文学賞について オリジナリ…
今は激しい恋よりも静かな恋がしたいな。別に忍ぶ恋というわけじゃなくて、ぼっと燃え上がるのでなく、穏やかな光のような淡い恋。奪うんじゃなくて、そっと寄り添って歩き、何も話さなくてもずっと二人でいられるような恋。胸のなかにほんわか暖かいものが…
『幸福な王子』は子どものころ絵本では読んだことがあったけれど、文字だけで読むのは初めてだ(『幸福の王子』という訳もありますね)。今回、読み返したのは、一つには作者のオスカー・ワイルドの厳しい生涯を知ってからだと、また別の感慨があるのかなぁ…
村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』読了。ごく親しい間柄だと思っていた相手からの突然の拒絶は、今までの自分が崩壊するんじゃないかというくらいショックな体験だろう。しかも、その理由が明らかにされないままであれば、ボディーブロ…
今いる場所が終の住まいだと思っていますか。私はそう思うこともあれば、ときどき逃げ出したいという衝動に駆られることがあります。居場所を少し変えるだけでも、気分はほんのちょっぴり開けてきたりする。お気に入りの場所が身近にあるとしても、もう少し…
久しぶりに村上春樹の小説を読もうかと思う。過去、集中的に何度も繰返し読んでいた時期があったけれど、ある時からパタッと読まなくなった。村上の翻訳書『キャッチャー・イン・ザ・ライ』が原因だ。本屋で手に取って最初の1ページを読んだところで置いて…
私はいわゆる賃労働はしていない。体調が良かったり悪かったりするので、定期的に就業するのは難しい。ボランティアはやっているけど、「具合が悪くて休んでもバックアップするよ」と言ってくれる仲間がほとんどなので、お陰様で何とか続けられている。有難…
誰にでも思い出したくない過去はある。それが吐き気やめまいを伴うようなトラウマだということもあるだろう。起こった事実は変えられないが、その解釈は時が経つにつれ変容していく。 トラウマ体験を昔の嫌なことの1つとして〈過去の引き出し〉にしまえるよ…