kai8787の日記

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物語ーイマジネーション

どんな職業でもそうだと思うが、30年以上も続けていれば一家言あるわけで、村上春樹さんも割りと赤裸々に小説家という仕事について語っている。

村上春樹『職業としての小説家』
≪内容≫

  1. 小説家は寛容な人種なのか
  2. 小説家になった頃
  3. 文学賞について
  4. オリジナリティーについて
  5. さて、何を書けばいいのか?
  6. 時間を味方につけるーー長編小説を書くこと
  7. どこまでも個人的でフィジカルな営み
  8. 学校について
  9. どんな人物を登場させようか
  10. 誰のために書くのか
  11. 海外に出て行く。新しいフロンティア
  12. 物語のあるところ・河合隼雄先生の思い出

あとがき

ラインナップを見ればわかると思うが、小説家になりたい人にとっては、作家の一例として色々参考になる本だろう。

私が面白いなと思ったのは、イマジネーションを「脈絡を欠いた断片的な記憶のコンビネーション」だと言っているところ。脈絡のない記憶を有効に組み合わせることによって物語が生まれてくる。一つひとつのなにげない日常のマテリアルの組み合わせ方でマジックが起こるという。

私は難しい文章が不得手なので、簡単な文章の斬新な組み合わせで読ませてくれる物語は大歓迎なのです。

そして職業・人間の私はふむふむと読んでいて、以下の文章で立ち止まった。

もしあなたが何か自分にとって重要だと思える行為に従事していて、もしそこに自然発生的な楽しさや喜びを見出だすことができなければ、それをやりながら胸がわくわくしてこなければ、そこには何か間違ったもの、不調和なものがあるということになりそうです。そういうときにはもう一度最初に戻って、楽しさを邪魔している余分な部品、不自然な要素を、片端から放り出していかなくてはなりません。

自分が何を求めているかではなくて、何を求めていないのかを探る。たぶん文章を書くとき、推敲するときの村上さんの姿勢なのだろうが、これって人生で迷いが生じて立ち止まったときにも、考え方としてありなんじゃないかな。

不必要なものを棄てることで自然と自分にとって大切なものが見えてくる。加算するのでなく減算する考え方。私みたいに頭でっかちな人間にはよい方法かもしれないなと思った。


職業としての小説家 (新潮文庫)

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職業としての小説家 (Switch library)

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