kai8787の日記

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あるカウンセラーのひとりごと

僕の名まえは兎田ぴょん。職業はカウンセラーだ。

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ウサギの話を聞くのが仕事。恋の悩みや仕事の愚痴や家族の悪口、それから「死にたい」まで、何でも聞く。時には殴られるんじゃないかというくらい怒ってるウサギもいる。

でも、僕はそんなウサギたちが嫌いではない。どんな話にもそのウサギなりの真実と切実さがあって、僕はそのことで毎回新たな気づきをもらっている。

もちろん、「死にたい」と言われたときはとても困る。僕は正直に「こまりましたね」と言って黙りこむ。「死にたい」はとても固い壁に囲まれていて、僕としては時間をかけてコツコツと少しずつ壁を削っていくしかない。

とても厚い壁のときは、小さい空気穴しか作れないこともある。もちろん、壁の中にいるウサギにも協力してもらわなきゃ何事も進まない。

まずは、自分が暗い壁の中にいることを感じてもらう。そして、外に出れば吹きすさぶ風もあるけれど、たまには太陽が顔を出すことを思い出してもらって、「(また壁の中に入ってもいいけど)とりあえず外でひと息つきませんか」と声をかけてみる。

ほんのちょっとだけ荷降ろしすることしかできないけれど、出入口ができれば壁は安全な居場所に劇的に変化する。そこで、充分休んで欲しいなと思う。

僕に力があるわけじゃない。ウサギ自身が持っている本来の脚力があるのだ。僕が耳かき程度しか壁を削れなくても、ウサギは今まで必死でもがいていた先を、壁に向け直してホリホリしてくれる。

僕がカウンセラーを続けていられるのは、ウサギの力を信じているからなんだと思う。だから、僕の目指すものは「カウンセリングなんて何の役にもたたない」と言われることだ。カウンセラーができるだけ目だたない存在でいられれば一番いいと思う。

「先生のおかげです」なんて言われるのは真っ平ごめんだし、そういうのはウサギの本当の逞しさが引き出せてないってことだから。だからここだけの話、こそっと言うんだけど「私に任せなさい」なんていうカウンセラーはインチキだって僕はおもっている。



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