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名探偵最後の事件

シャーロック・ホームズといえば、知識豊富で観察眼の鋭い名探偵というのが誰もが抱くイメージだろう。しかし、この映画のホームズはちょっとテイストが異なる。

30年前に失敗に終わった、ある事件をきっかけに探偵を引退し、田舎に引きこもり養蜂をしながら余生を暮らすホームズ(イアン・マッケラン)。既にワトソンは亡くなっている。家政婦とその息子・ロジャーとの日々のなかでホームズは最後の事件の記録を残そうと試みるが……。

ホームズにも確実に老いが襲ってくる。ローヤルゼリーや日本の山椒などで対抗しようとするけれど、なかなかうまくいかない。記憶の衰えはそこここに現れてくる。山椒を手にいれるために出向いた日本(出迎えた日本人を真田広之が演じている)の場面では、戦後間もない広島が描かれている。

ホームズは最後の事件の細部を徐々に思い出していく。少しずつ受け入れていく自分の老いがオーバーラップする。

しかし、観察眼は相変わらずの冴えを見せる。賢い男の子・ロジャーもそんなホームズを敬愛している。

静かなイギリスの田舎風景が穏やかで美しい。最後の場面でのホームズの慈愛に満ちた姿が心に残る。



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