kai8787の日記

編み物と散歩と読書とダイエット

少年の夢と現実とはるかな記憶の残滓

ブログ拝読中の高岡ヨシさんの『五厘クラブ』を読んだ。主人公で語り手の「オレ(タカクラ)」の試練と成長を縦糸に、一緒に遊んでいた少年時代の友だち達との交流を横糸に、織り成される物語。

少年の頃の友情における心の襞が懐かしさを伴って胸に込み上げてくる。タカクラが試練を孤独に受け止め堪える気持ちがひしひしとわかる。助けを求めようと思えば、タカクラには相手がたくさんいるのに、矜恃と尊厳とプライドでがんじがらめになる、その苦しさははかりしれない。

私も幼い頃、暗いどんよりとした穴に落ちかけていた。そっちの方向に行けば、穴に吸い込まれるとわかっていても、足が向かってしまう恐ろしさがあるのを知っている。

たまたま私は偶然が重なって、穴に引きづり込まれることはなかった。タカクラはいったん穴に落ちる。そしてそこで苦しみもがく。必死にもがき続ける。そこに救いがあるのかは、是非本編を読んでみて欲しい。

五厘クラブ

五厘クラブ

エピソードが豊富で一気に読めた。『五厘クラブ』のスピンオフのショートストーリーが読める、高岡ヨシさん (id:yoshitakaoka) のブログもお薦めです。



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