さぁ、もう一度。 Re-born
自分ではどうしようもないことがある。どんなに思ってももはや叶わない。もう努力とかそういうのでなく、誰かに振り向いて欲しいのにそれは無理なのだとわかってしまったりとか。
挫折とまでいかなくても、これまでとは違う新たな道へ一歩踏み出さないといけないときもある。まっさらな気持ちで、せいのって感じで。
友だちが背中を押してくれるか、自分で踏み切るか、何かしら大きな流れみたいのにさらわれて結果飛び出すことになるのか、その時々で違うけれど、どこかでふんぎりをつけないと辛いばかりだ。
泣いたり悩んだりもんもんとしたり食事が喉を通らなかったりするけど、失ったものはもう戻ってこない。だから、思いを立ち切る。最後はやっぱり自分で決めることになる。
この本は7人の作家の短編集。『羊と鋼の森』の宮下奈都の名前があったので手に取ってみた。まだ、デビュー間もない頃の作品だ。受験に失敗し、行く気のなかった高校に通う女子高生があることに気づくまでの物語が、淡々と綴られている。
他の作品も「再生」や「発見」「気づき」をテーマにしている。ほろにがかったり、秘めたる思いにぐっときたり、何だかティーンエイジャーの頃の懐かしい思いに駆られた短編集だった。
宮下奈都『よろこびの歌』
福田栄一『あの日の二十メートル』
瀬尾まいこ『ゴーストライター』
中島京子『コワーリョフの鼻』
平山瑞穂『会ったことがない女』
豊島ミホ『瞬間、金色』
伊坂幸太郎『残り全部バケーション』