kai8787の日記

編み物と散歩と読書とダイエット

幸せの贈り物

かきつばたの花巾着ができました。色を変えながら編んでいきました。開け口と持ち手が花模様になっていて、ちょっと苦労しましたが、気に入っています。


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かきつばたの花言葉は、≪幸運は必ず来る≫、≪幸せはあなたのもの≫、≪贈り物≫です。

さて、花言葉を使った物語を書きました。良かったら、読んでください。


僕が19歳のときに亡くなった父が口癖のように言っていた言葉がある。
「いいか。どんなに辛いことが何度も押し寄せてきて、つぶれそうになっても、『幸運は必ず来る』って思えよ。そうすれば、どんな苦難も必ず乗り越えられるからな」

父の人生は決して楽ではなかった。祖父は幼いときに他界していて、祖母が小さな金物屋を営みながら細々と暮らしていた。けれども時代の波で商店街が廃れていくのとともに廃業に追い込まれてしまった。祖母はもともと身体が弱かったので、父は中学を卒業してすぐに働き始めた。
本当は新聞配達をしながら定時制高校に通いたかったが、3つ違いの弟を進学させてやりたかったので、昼と夜に肉体労働をかけもちでやった。弟は高校を卒業すると「大学へは自分の力で行くよ」と笑った。

その叔父は父の葬式のとき、棺に手をかけ、肩を落として泣いていた。しばらくして僕の傍らに来て、「困ったことがあったら、ぐずぐずせんと俺のところに来いよ」と励ましてくれた。今では、小さい印刷会社の社長をしている。

叔父の高校の卒業式が終わってまもなく、父は工事現場で事故にあい、左足の膝から下の切断を余儀なくされた。父は義足をつけて懸命にリハビリをした。そのとき知り合ったのが作業療法士をしていた母だった。二人は、父がだんだんと歩けるようになるごとに、少しずつ愛を育んでいった。

父のプロポーズの言葉は、
「君を幸せにできるかはわからない。だけど、君と一緒にいれば僕はどんな苦労があったって幸せになれる」
だった。
母は微笑んで
「幸せはあなたのものなの?あなたが幸せなら私だって幸せになれるわ」
と応えた。

煙になって天に上っていく父を見上げながら、母がつぶやいた。
「お父さんがくれた最高の贈り物はおまえだよ」



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