雨に閉じ込められた午後にー映画『始終着駅ターミナル』
よく言われることだけれど、別れに際しては、女性の方がさばさばしており、男性の方がひきずりがちだという。それは何となく私の周りを見ていてもそうかもしれないと思う。もちろんそうじゃない人もいるでしょうけども。
別れをひきずりたくない人と、どうしようもなくひきずってしまう人。そこにはどのような違いがあるのだろうか。愛の深さ?繊細さ?断ち切るエネルギー?
心が残ってしまうとき、人は生き方を変えざるを得なくなる。そして思い切るときもまた。
佐藤浩一主演『始終着駅ターミナル』を見て、そんなことを考えた。
一児の父で単身赴任して裁判官として働く鷲田(佐藤浩一)の前に、学生時代の恋人・冴子(尾野真千子)が被告として現れる。彼女との逢瀬を重ね、一緒に生きること決意した鷲田だったが、冴子は別の選択をする。それはあまりにも衝撃的な愛の選択だった。傷心の鷲田はぬぐいされない罪の感覚を抱えて、判事を辞め、妻子と別れ、国選専門の弁護士として釧路でひっそり暮らしていく。
ある日、弁護を担当した若い女性・敦子(本田翼)が鷲田の自宅を訪ねてきて……。
佐藤浩一の抑えた演技が切々と男の不器用な生き方を訴えてくる。他方、女性たちは潔く捨て去っていく。
原作は桜木紫乃『始終着駅ターミナル』
- 作者: 桜木紫乃
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/04
- メディア: 単行本
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佐藤浩一は好きな俳優の一人だ。存在感があるなぁ。そして尾野真千子がとびきり美しい。痛切な運命をたどる女性を印象的に演じていて心に残った。本田翼も家族と縁の薄いはかない女性の情感を漂わす演技で好感を持てた。