孤独にも型があるのだろうか。
感情ってどこから生まれてくるんだろう。例えば、母性愛なんかは子どもができたらごく自然におこるって思っていたんだけど、この本のなかで話し手たちはそれと違う意見を持っている。
内田樹×名越康文×西靖『辺境ラジオ』は、ラジオ放送を書き起こした本なのだが、精神科医の名越康文は次のような発言をしている。
実は「自然に愛情が湧いてくる」とか「親子なんだから情は通い合うもの」という考えは絶対に違う。そうではなくて、ある「型」にはまる、もしくは「型」を演じることで、初めて内発的なものが生まれる。
思想家の内田樹もこれに同意する。「感情は外部から入ってくる」と。
つまり、親という「型」を演じていると感情が後からついて出てくるというわけだ。茶道など「型」のある儀式的なものをやると、自然と気持ちが落ち着いてくることがある。そんなことなのかなぁ。
今日、私はふと孤独を感じたのだけども、それにもやはり型みたいなものがあるんだろうか。家で一人でいて、何をする気も起きず、自分自身に目を向けるという「型」。あるいは、仕事帰りの人であふれかえる駅周辺で、ただ歩いているだけの自分を意識するときに起こる孤独も、「何の役割もない、ただそこにいるだけの自分」という「型」にはまっているだけなのだろうか。
感情というのは成長していくものだ。ちょっとした思いがどんどん膨らんで、自分では抱えきれないとき、爆発する。もしも、感情が「型」から生まれるのなら、「型」を少しシフトすることで、負の感情というのはしぼんでいくはずだ。
自分が落ち込んだときに、少しだけ、「型」というものを意識して、崩してみようかなと思う。
- 作者: 内田樹,名越康文,西靖
- 出版社/メーカー: 140B
- 発売日: 2012/09/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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