深い森のなかの事件
久しぶりにミステリーを読んだ。マリーア・シェンケル『凍える森』。
1922年、南バイエルンの片田舎ヒンターカイフェックの大きな農家で一晩のうちに6人が惨殺された『ヒンターカイフェック殺人事件』は、ドイツ犯罪史上もっともミステリアスで猟奇的な事件として、広く知られている。
この事件に、著者マリーア・シェンケルはひとつの推理で挑んだ。それが本書2007年ドイツミステリー大賞受賞作『凍える森』である。
この本は証言で構成されている。斬新な試みだ。
被害者の友人や教師、家に立ち寄った郵便配達人や修理工、発見した近所の農夫
たちの証言から浮かび上がるものとは……。
証言者たちの中に犯人がいるのか、いないのか、どきどきしながら読んでいく。ある証言の中に違和感を覚える。「もしかして」という疑念が生まれ、最後に真実が明かされたときに「やはり」と納得する。ミステリーの快感を素直に味わった。
- 作者: アンドレア・M.シェンケル,Andrea M. Schenkel,平野卿子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/10
- メディア: 文庫
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