凸凹だから疲れるよ。だけど、だから
毎年、冬になると調子を崩し、でも、だんだんと霧が晴れるように上向いていくのだけれど、今回は行きつ戻りつのギッタンバッコンが激しくて、精神的にヘトヘトになっている。
「いつか晴れの日が来るよ」と自分に言い続けているのだけれど、つい「いったい、いつになったら」とへこたれてしまう。
今日できることをやろう。明日はできるかできないかわからない。希望は叶えられないかもしれない。それでも、今日を精一杯生きよう。ただ生きてるだけでいいんだ。自分を責めても誰も救われない。
今日もご飯も食べられたし、コーヒーも飲めた。頑張って服だって着替えられた。充分だ。よくやったよ。
と自分を励ます。
やっぱり、あーしたいこうありたいっていう欲はあって、そこから引き算して考えちゃうとがっかりしてばかりなんだけど、本当に何にもできない体験がせっかくあるんだから、そこから足し算して考えよう。
ときどき、すごく不安になるけど、あんまり先のことを考えすぎないようにしよう。私は私のこの人生を生きるしかないんだ。誰かのととり換えっこできるわけじゃない。
弱音は吐くし、辛いよって落ち込むし、周りがよく見えてしまうし、駄目なところはいっぱいあるけど、やっぱり私はそれでも私を生きていこう。
社会人になりたての頃の失敗
働き始めたばかりで本当に緊張していて、先輩から頼まれたらもう何でも引き受けてやっていたけれど、残業続きになってある日ハタと気がついた。全て期限までに終えるのは無理なのである。
それからは先輩からの仕事をどう断っていくかに心をくだいた。自分の仕事は自分でマネージメントしなくちゃ、誰もやってくれないからだ。
ただ「できません」では角が立つので、「これだったら、このくらいはできます」「こっちならこのくらい」「どっちをどのくらいやりますか?」と全面的に断るのではなくて、やれることはやる感じで、できないことは引き受けないようになっていった。
それから先輩が「今日中にこれやっといてー」と大量なデータ整理をポンと持ってきたときには、「私は明日までにこういう仕事を抱えています。今頼まれたことを引き受けると、それができなくなります。明日以降では駄目ですか?(あるいは、優先順位はどちらですか?)」と尋ねることにした。
先輩によっては「自分で考えろ」と言ってくる人もいたけれど、その時は「何を基準に考えればいいですか」「明日の会議に最低限必要なものを、私が選んじゃっていいんですか」とか言ってたかなぁ。
ともかく黙っていると、誰も私に気を使ってなどくれないので、自然と自己防衛するようになっていった。それでも毎日が残業だったけれど。
4月になってフレッシュパーソンを街で見かけると、何となく思い出されてしまうあの頃。それでも私は7年後、仕事にのめり込み会社に寝泊まりするくらい働き過ぎて、身体をすっかり壊してしまったので、あまり要領は良くなかった方だろう。というか、完全にワーカホリックである。
私の失敗は人にうまく頼むことができずに、自分で抱え込んでしまったことによるものだった。自分で立ち上げたプロジェクトに酔って、うまく仕事を分散できなかったのだ。もうほんとにアホの極致である。
だから、新しく働き始める方々や部下を持つようになった方々には、無理しないでね、といつも思う。自分の身体や気持ちを是非とも大切にして欲しい。
ペンギンの憂鬱
「現在、ロシア語でものを書く最も優れた作家の一人」と称されるアンドレイ・クルコフの代表作『ペンギンの憂鬱』を読んだ。
憂鬱症のペンギンと暮らす売れない短編小説家ヴィクトルの引き受けた仕事は、まだ亡くなっていない人たちの追悼記事を書く仕事だった。舞台はウクライナのキエフ。大物たちが次々と亡くなっていき、ヴィクトルにも不穏な影が近づいてくる。心臓の悪いペンギンの運命は……。
題名に惹かれて手に取った。不思議な小説だ。主人公のヴィクトルはとてもドライな性格で、ペンギンはときどき不眠症だったりする。2人の穏やかな生活の中にじわじわと騒がしさがやってくる。
ソ連崩壊後のウクライナの首都キエフは、ときどき銃声が響いたり、マフィアが暗躍しているところだ。
ただ部屋で原稿を書いているだけのヴィクトルもその原稿が元で、厄介ごとに巻き込まれていく。徐々に忍び寄る恐怖の影に時に怯えながら、それでもどこ吹く風と飄々と原稿を書き続けるヴィクトルだったが、最後に立て続けにあっと驚くような行動力を発揮する。
群れから離されたペンギンはソ連から離れたウクライナを象徴しているのか?私は政治的な物事が苦手なので、正直そのあたりのことはよくわからない。
ペンギンと一緒に散歩したり、湖に行ったりするのがほほえましかった。でも、ペンギンは楽しかったのかな。たまたまテレビに写ったペンギン仲間が消えたあと、テレビを押してしまうペンギンの姿が哀しかった。
- 作者: アンドレイ・クルコフ,沼野恭子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/09/29
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深い森のなかの事件
久しぶりにミステリーを読んだ。マリーア・シェンケル『凍える森』。
1922年、南バイエルンの片田舎ヒンターカイフェックの大きな農家で一晩のうちに6人が惨殺された『ヒンターカイフェック殺人事件』は、ドイツ犯罪史上もっともミステリアスで猟奇的な事件として、広く知られている。
この事件に、著者マリーア・シェンケルはひとつの推理で挑んだ。それが本書2007年ドイツミステリー大賞受賞作『凍える森』である。
この本は証言で構成されている。斬新な試みだ。
被害者の友人や教師、家に立ち寄った郵便配達人や修理工、発見した近所の農夫
たちの証言から浮かび上がるものとは……。
証言者たちの中に犯人がいるのか、いないのか、どきどきしながら読んでいく。ある証言の中に違和感を覚える。「もしかして」という疑念が生まれ、最後に真実が明かされたときに「やはり」と納得する。ミステリーの快感を素直に味わった。
- 作者: アンドレア・M.シェンケル,Andrea M. Schenkel,平野卿子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/10
- メディア: 文庫
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直感力が欲しい
私の友人には、動物的な勘の持ち主がいて、難しい人間関係問題などをささっと解決してくれたりする。すごいなといつも感心してしまう。
私はどちらかというとマニュアル人間なので、人間関係みたいな複雑系になると、もうお手上げ状態になる。
どうも人間には理屈で考えるタイプと直感で動くタイプがいるみたいで、私は後者タイプの人に憧れてしまう。
もちろん私だって、直感で人を好きになったり、好みの服を選んだり、その日の気分で聴く音楽を決めるようなことはする。ただ、傾向としては情報を頭で分析して考えてから行動する方が多いように思われるのだ。
直感タイプの人はしなやかで軽やかでワイルドで多彩だ。なんというか、危機が訪れたときに生き残るのは、直感タイプだと思う。
理屈タイプだって少しはいいところがあるかもしれないけど、映画などではだいたい控え目な役どころで、ヒーローはやっぱり直感タイプが多い。何しろ行動力が圧倒的に違う。
関係ないかもしれないけど、筋肉質の人って直感タイプが多い気がする。もしかして、直感タイプは狩猟民族に多いのじゃないだろうか。農耕民族は生産計画をたてたり、備蓄方法を考案したり、天候を予測したりしなくちゃならないから、やっぱり理屈タイプじゃないとやっていけないんじゃないかな。
あぁ、年々、直感力が失われていくような気がするなぁ。どうにかならないものだろうか。たまには何の計画もたてない行き当たりばったりの旅とかしてみればいいのかもしれませんね。
俳優さんは大変だ
アクション映画も嫌いではないし、どんでん返し連発のドラマチックなストーリーもいいけれど、たんたんと丁寧に描写するような映画も好きなのだ。
安田顕主演『俳優 亀岡拓次』はそんな映画のひとつ。
脇役ばかりの俳優・亀岡拓次は37歳で独身、恋人なし。「一人は寂しい」と呟きながら、撮影のある土地で酒を飲む日々。ある日訪れた町の居酒屋で美しい若女将の安曇と出会い…。
哀愁漂う画面とは裏腹に音楽がコミカルでほのぼのしてしまう。苦手な舞台の話を引き受けてしまい、おどおどしている場面とか笑えるし、スペインの監督のオーディションを受けたときのさすが役者と思わせるところもあって楽しめた。ラストの砂漠のシーンは彼の役者人生を表しているようですごく象徴的だ。
安曇役の麻生久美子も魅力的だった。セクシーというのでなく、ほのかな艶っぽさ。湯上がりの美女といった趣き。
安田顕というと、映画『変態仮面』の偽変態仮面役で強烈なインパクトを受けた俳優。ちなみに、その映画の主演の変態仮面は鈴木亮平だった。この映画は友人の強い誘いで見たのだが、女性のパンティをかぶってエネルギーを増すというほとんど全裸に近いすごい役柄を真剣に演じている俳優の皆さんに頭が下がる思いだった。
それに比べて、この亀岡拓次の役柄は、安田顕さん自身の日常に近く、逆に演じるのが難しかったのかもしれない。
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