妄想旅行
今日は一日臥せっていた。天井を見ながら、電車に揺られて旅をすることを夢見た。
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海辺を走る電車で駅弁を食べながら、今日泊まる宿をスマホで探して、適当な駅で降りる。
1人で街を少し歩いて、見覚えのない喫茶店でぼんやりする。少し寂しさを感じて、本屋で読んだことのある本を買ってしまう。
チェックインした冷たく白いビジネスホテルのベッドの上に、お守りみたいにその本を置いてみる。
夕食は街に出て、日本酒にお蕎麦で済ませる。実は日本酒を飲むと後が厄介なのだけれど、飲んでしまう。
蕎麦湯を頼んだころにふと思いついてノートを買いたくなる。コンビニがあるのだけれど、先ほど立ち寄った本屋さんの片隅に売っていたなと思う。
もう一度本屋さんに行きたかっただけかもしれない。本がきちんと並んでいるのを見ると何だか落ち着く。本の香りもほんのりして。
そういえばビジネスホテルのシングルルームって、うさぎ穴みたいだなぁ。ちょっと日常から遠ざかった、おひとりさま用の穴。
そんな風に考えたら、何だか部屋に帰るのが楽しみになって、小さいノートを手にふわふわ歩く。
新しいノートを開いて何か書き始めるときにはいつも少しだけわくわくする。
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いいなぁ、旅。