秘密を持つこと
秘密を抱えるというのは苦しい。どんな秘密であれ、自分自身の心に負担をかけるものだ。
他者の秘密を守るのと、自分自身の秘密を保つのとどう違うのだろうか。私の場合、わりあい他者の秘密については冷静でいられるけれど、自分の秘密には感情を圧迫されることが多い。
他者に「これは人に言わないでくれ」と頼まれたとき、黙っていることで別の人を損なったりしない限り、私は黙っていられると思う。私はそういう事実があったことを忘れるように努めるし、それによって心理的負荷がかかることはほとんどない。
迷うのは、黙っていることで別の人に迷惑がかかるかどうか判断しかねるときだ。例えば、友人の連れ合いが浮気しているというのを知ったときどうするか。この場合は、私は教えないだろうと思う。その手のことは、すぐにバレるか、すでにバレている可能性が高く、私に友人が話してないとすれば、触れてほしくないということだと思うから。
考えてみると、私はあまり人に秘密を打ち明けられてはいない。カミングアウトしていないことを黙っていてくれと言われたことは一回あるけれど、そういうのは心の奥にしまい込む。そうだなぁ、他にもう一つくらいはあるけど、それも秘密にしておくのにさして困らないものだ。
自分自身の秘密については、今抱えているのは重いのと軽いのと両方ある。一つは生き方の選択の問題で、決断によっては友人たちを失望させるだろう。だから、悩んでいること自体を今は秘密にしている。これは結構苦しい。
ただ、体調があまり良くないときに重要なことを決めない方が良いので(というのは、マイナスの方に引きずられてしまい後悔するから)、今は保留しているのだ。
軽い秘密は、少し気になる人がいること。これは秘密にしておく方が華の部類のことだ。
秘密を抱えて生きるのが大人になるってことなのかなぁ。してみると、私も少しは大人になったのかもしれない。