kai8787の日記

編み物と散歩と読書とダイエット

あくまで私の好みですが

私は割とタフな女性が好きだ。イメージとしては天海祐希さんくらい(あくまで役柄のイメージですが)。米倉涼子さんだとちょっと人間離れしていて近寄りがたい。微妙な違いなのだけれど、強さの中にも少々のフェミニンな柔らかさが欲しい。

パトリシア・コーンウェルの「検視官」シリーズはずっと米倉涼子的タフさを持つ敏腕検視官ケイ・スカーペッタが主人公だった。

でも今回の『黒蝿』では、スカーペッタにまるで元気がない。前作で襲いかかってきた不幸の数々をひきずっていて、検視官局長も辞任し、マイアミのデルレイビーチで法病理学のコンサルタントをやっている。

一方でルイジアナの州都バトンルージュで、女性の連続誘拐殺人事件が起こる。

そんな中、スカーペッタのところに、彼女を殺そうとした死刑囚“狼男”から「会いに来て欲しい」という手紙が届く。

黒蠅 (上) (講談社文庫)

黒蠅 (上) (講談社文庫)

黒蠅 (下) (講談社文庫)

黒蠅 (下) (講談社文庫)

今回、私は大失敗していて、シリーズものなのに前作を飛ばして本作を読んでしまった。読み始めてそのことに気づいたのだけど、「まぁ、いいや」と思ってそのまま読んだ。前作で何があったのかは粗方説明されているので、スカーペッタの気弱さや逡巡が理解できる。

いつもと違うテイストで、登場人物一人ひとりを掘り下げていく構成でそれぞれが犯人に迫っていく。

気落ちしているスカーペッタも事件解決に向けて徐々に元気を取り戻す。

ただ、犯人が快楽のためにだけに犯行を重ねるという設定は、私の好みではない。その背景が描かれてないと重層感に欠けるように思う。

アメリカの推理小説やドラマには、怪物のような犯人が出てきて、「私たちと根本的に違う生きもの」として描かれることが多いのだけど、フィクションとわかっていても何だかそれにはついていけない自分がいる。

犯罪者となってしまう人を怪物化すれば、私は単純に「良い人」の一人でいられるけれど、現実の犯行に至るにはもっと複雑で様々な事情や成行がある。そういうところを捉えて追求するような作品が読みたいときもある。

勧善懲悪もし過ぎると、リアリティーが失われて、ミステリーというよりホラーに近くなるということだ。

申し訳ないけれど、私はホラーとジェットコースターが苦手なのです。



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愛って何?

好きになった人に他人の心が読める能力があったら、あなたはどうしますか?

高台家の人々』はそれがテーマの物語。妄想好きな主人公・平野木絵(綾瀬はるか)が好きになったのは、誰もが王子さまと憧れるイケメンでエリートの高台光正(斎藤工)。人前であまり笑わない光正にはある秘密があった。それは、彼が人の心を読めるテレパスだということ。

木絵の奔放な妄想を光正は愛する。二人の愛は育まれていくが、光正がテレパスであることを木絵に明かし、それを知った木絵は……。

高台家の人々

高台家の人々

人の心が読めるって辛いだろうな。そんな中、一緒に居ても疲れない相手がいたらどんなに救われるだろう。

愛した人に考えが全て知られてしまうというのは極端だけれど、愛するというのは綺麗ごとだけでなく、相手の欠点も受け入れて一緒に生きていく決意をすることではないだろうか。

私はそこまで人を愛したことがあるのかな。例えば、よくドラマで殺人を犯してしまった恋人に『いつまでも待っているよ』と言うのを聞くと、わぁー私には無理かもとよく思っていた。

過去形なのは、最近になってその気持ちが少しはわかるようになってきたから。人間て善と悪にパキっと分かれるんじゃなくて、誰にでも罪を犯す可能性がある。たまたま私には今のところそういう魔のときが訪れていないだけなのだ。

駄目な自分を丸ごと受け入れてくれる人に出会ったら幸せだろうな。今日はちょっと乙女になって、そんな妄想したくなった。



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M・クビカ『グッド・ガール』

恋人にすっぽかされたバーで話しかけきた男は彼女の誘拐を依頼されていた。ピストルで脅され森の中のキャビンに閉じ込められたミア。

物語は誘拐前と後をミアの母イヴと刑事のゲイプ、誘拐犯のクリフのモノローグで綴られていく。

最後に明かされる真相は驚くべきものだった。愛されることを強く欲していたミア。クリフの素っ気ない態度の端々にミアに対する気持ちが露になっていく。

救出された後、ミアが記憶喪失になるほどの衝撃をなぜ受けたのか、真相を知って初めて腑に落ちる。

ミステリーの枠に収まらない細やかな心理描写で、登場人物の微妙な内面が映し出されていく。



グッド・ガール (小学館文庫)

グッド・ガール (小学館文庫)



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心配グセをなくすには

私は先々のことまで心配し過ぎだと友人たちは言う。そういう友人は「今ここ」の人で、先のことは先になってから悩めばいい、今できることをやればいいと言う。

それはそうだと頭ではわかっていても、考え方のクセというのはなかなか直らない。いったい何故こんなふうに考えるクセがついちゃったんだろう。

「今ここ」の考え方ができる友人たちは自己肯定感がしっかりとある人なのではないかと思う。幼いときにしっかりと愛された感覚が根づいている。

私は小さい頃に激しい喪失感を味わってしまったので、自己肯定感が少ない。だから、とても承認欲求が強いという面がある。これは自分の欠点で嫌いなところでもある。

「今ここ」の人は基本的に人への信頼感があるから、「なんとかなる」という気持ちになれるのではないだろうか。きっと私は「裏切られるかもしれない」「見捨てられる」という気持ちがどこかにあって「何とかしなくちゃ」と強く思い過ぎてしまうんだろう。

けれども、人によって傷つけられたことは、結局、人によってしか救われない。信頼感を少しずつ育んでいくしかないのだ。そのためには人に頼ってみることだと思う。めっちゃ頼りきるのでなく、軽く頼ることから始めてみればいいのかもしれない。

いや、今まで人に頼らないで生きてきたわけではないのだけれど、感謝の気持ちが足りてないのかなぁ。



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スポイルされても失わないもの

何度も見てしまう映画がある。『shine』もその一つだ。

実在の天才ピアニスト、デヴィッド・ヘルフゴットの半生を描いた感動の人間ドラマ。主演のジェフリー・ラッシュは、この映画でアカデミー賞主演男優賞に輝いた。

支配的な父親の影響下にあった青少年期の寡黙さと、サナトリウム以後の鳥のさえずりのようなデヴィットの話し方の変化。堅いピアノが軽く流れるような自由さで表現されていく。

サナトリウムでピアノに触れられない寂しさと、弾くことを禁じられた哀しさを描いてる場面が切ない。

ピアノのあるレストランでの出会いの場面が、人間の限りない愛情を感じさせてくれて好きだ。常識を逸脱する存在を排除しない人々のおおらかさ、多様性の大切さがじんわりと伝わってくる。




シャイン ―デジタル・レストア・バージョン― [DVD]

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シャイン

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小説家のエッセイ

小説を読むより先にエッセイを読んでみることがある。どんな人なのかなぁという興味があったりして、エッセイがある作家の場合は、覗き見気分でつい手を出してしまう。

あんまり先入観なしに小説を読んだ方がいいのかもしれない。ただエッセイと小説は全然テイストが異なるので、そんなに引きずられることもない。


川上弘美『なんとなくな日々』は力の抜けたエッセイ集で、作家の日常の一辺が切り取られていく。鋭い観察眼が披
瀝されるわけでもなく、等身大の暮らしが書かれているのだが、ふとした場面で突然異物が現れてくる。「台所は生と死に深くつながる場所」とかどきっとする表現があったり、突然カッパが登場したり。

ごく短い文章で構成されていて、1200字くらいの長さのツイッターを眺めてるような気楽さで読めた。

あとがきに、小説よりもエッセイを書くのが難しいと書いていて興味深かった。

なんとなくな日々

なんとなくな日々

なんとなくな日々 (新潮文庫)

なんとなくな日々 (新潮文庫)




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ブログ3ヶ月目、100記事になりました。

昨日、ちょうど3ヶ月目、100記事だったのに気づきました。読んでくださっている皆さまありがとうございます。

2ヶ月目のときも書いたけれど、見に寄ってくれたり、最後まで読んでくださったり、☆をつけてくださることがとても励みになっています。

いつのまにか過ぎてたブログ2ヶ月目+ボランティア - kai8787の日記

ブログを書くようになって以来、なんだか毎日の生活にメリハリがついたように思います。散歩に出て、タンポポやつくしを見つけたら、ちょっと得した気分になれたり、雨の日で体調が悪くても珈琲の薫りが癒してくれたり、そんなふとした瞬間がとても大事なことに感じるようになりました。

今日は暖かい一日で、広い公園まで出かけられました。チューリップとムスカリがとっても綺麗に咲いていました。


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